次の一手

 「道具」としてのICTが定着しない。
 次の一手が見えない。
 ネットを嫌う人達は、ネット社会は誹謗・中傷が横行し犯罪の温床だと考えている。
 そう言った面が有る事は否定はしない。
 事実、連日の報道は人々の不安を煽るものばかりが目に付く、そう言った物ばかりを選んで報道しているとすら思える。
 しかし、ネット社会は正しい知識とモラルを持って接すれば、決して一般的に言われる程怖い世界では無い。
 これは現実社会と同じではないか。
 一部の不届き者の報道だけを聞いて、社会全体が暗黒の世界だとは誰も思わない。

 手で布を切る事は出来ないが、ハサミを使えば簡単に切れる。
 ハサミは体の一部ではないが、手の延長線にあって体の一部の様な働きをする。
 この機能を称して人は「道具」と呼ぶ。
 ではITCとはどんな道具か?
 それは脳の延長戦ではないだろうか。
 もっと言えば脳が作り出す意識の延長線だと思う。
 脳は五感のデータを使って外の世界のイメージを作り出す。
 確かに外の世界は現実の存在し、脳が作り出したイメージは現実に即した物ではあるだろう。
 がっしかし付き詰めればそのイメージは、脳の中の化学反応と電気信号伝達に過ぎない。
 ならば、その脳にネットを繋ぐ事は、五感を延長する事と同じではないだろうか。
 より広い世界に意識を拡大し、多くの知識を得、多くの人達と触れ合う事は素晴らしい事ではないだろうか。
 そのためにネット社会をより良い場所にする為に努力する事は、現実社気を良くしようと努力する事と何処が違うと言うのか。
 現実世界とネット世界は相互補完し合ってこそ、これからの人間社会は変革していけると思う。
 これこそが、アルビン・トフラーの提唱する「第三の波」の実現だと強く感じる。